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◆ もし『BAD』が『BAD』でなかったら★ 『BAD』25周年記念盤・完全未発表曲を聞いて ★ [アルバムレビュー]

                             オリジナル2013.5.26Up

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 『スリラー』が前人未到のセールスを記録し、その『スリラー』を超えるべく、マイケルがニュー・アルバムの製作に着手したのが85年だそうです。そのまだ輪郭の見えないニューアルバムのために、62曲もの曲をストックしていたといいます。
 前回、MJがなぜ『BAD』のスタイルにたどり着いたのか、推察してみました。
 同級生のプリンスとも比較しましたが、プリンスもこの頃Creativeなパワーが全開です。
 マイケルは、5年という歳月を1枚のアルバムに凝縮させた。対照的にプリンスは毎年のようにアルバムを発表した。しかし、そのアルバムはどれも違うカラーをもち、楽曲の良さとサウンドの質の高さとそのcreativeさに、多くのリスナーが魅了された。
 マイケルも、毎年とはいわないまでも、2年に1枚くらい出せる楽曲はそろっていた。
 前述の62曲から絞りに絞って、33曲の楽曲はある程度完成されたデモ盤まで出来上がっていたたようで、そこからの6曲がこの25周年記念盤のボーナストラックとして収録された模様。
 “タフなMJ”というコンセプトに沿って、アルバムタイトルも『BAD』となり、収録される曲が選ばれた。最終的にたどり着いた『BAD』のスタイルも、素晴らしいものですが、『BAD』25周年記念盤のボーナストラック、これらの未発表の6曲を聞いて、80年代後半にもう1枚、アルバムを出してほしかったという思いを強く持ちました。
 
 やはりそう望むのは、人間マイケルの内面を表現した作品を聞いてみたかったという欲求と、そのボーカルを感じたかったという思いです。
 マイケルのボーカルは、80年代と90年代でも明らかに違う。80年代でも前半と後半でも違いを感じます。その理由は、年齢によるものと別の要素があるように感じています。
 80年代前半、『オフ・ザ・ウォール』、『スリラー』の頃のボーカルはMJの生涯においても最高のボーカル力です。どうしてもあの天才的なDANCEのインパクトが強くて、ボーカルの魅力については二の次になるのですが、マイケル・ジャクソンはボーカルも唯一無二の声なのです。
 「それはなぜなのか?」
 あらためて考えましたが、マイケルのボーカルは、性別を超えた魅力があります。
 男性ボーカリストでありながら、女性的な美しさと繊細さも兼ね備える。
 男性的な力強さと激しさもある。そして黒人特有のソウルさも秘める。
 さらにボーカルにリズムが宿る。
 両性具有的なボーカルの質に、情感の豊かさとリズムがのる。ここまでのボーカルを兼ね備えるアーティストを知らない。
 
 『オフ・ザ・ウォール』は、そのボーカルに焦点をあててみると、最高級です。そして、そのボーカルを活かすサウンドを持ち合わせていたクインシー・ジョーンズと出会ってくれた事は最高です。
 クインシー・ジョーンズも70年代後半から80年代前半は、これまで吸収してきたジャズだけではない様々なスタイルが見事に融合され、最高級のミュージシャンやレコーディングスタッフ、最高の機材にも恵まれ最高のサウンドを生み出していた。そんな環境で、最高のフューチャリング・ボーカリストとしてマイケルを迎えれたのは最高だったでしょう。
 そしてロッド・テンパートンの曲とマイケルのボーカルの相性は最高です。ロッドも、マイケルのボーカルの質、スタイルも考えて曲を作ったといいますから。
 
 マイケルのボーカルについて書いてるとどんどん長くなるので、このテーマは次回にして、『BAD』とは違うスタイルのアルバムについてのテーマにもどります。
 『BAD』は、そのテーマからして、ボーカルも攻撃的です。
 極端に言うと、『BAD』では笑顔で歌うマイケルがあまり浮かんできません。恋愛ソングの「The Way You Make Me Feel」もシャウト色も強め攻撃的です。攻撃的という一言ではくくれない、かっこいいボーカルと言った方がいいのかな。
 「リベリアン・ガール」は繊細なボーカルです。「マン・イン・ザ・ミラー」はこれまでになかったパワフルなボーカルです。
 リズム感を出すためか、喉を鳴らす感じのスタイルも、この頃から頻回です。
 この頃からそういうボーカルスタイルに完全に変貌したのかと思っていましたが、この未発表曲を聞くと、すごくリラックスした、ナチュラルなボーカルのマイケルがそこにいたのです。これはけっこう驚きました。
 
 そして、リリックです。マイケル・ジャクソンの、一人の青年の胸のうちがそこにあるのです。
 マイケルのパーソナルな心情を表現したアルバムとして95年の『ヒストリー』があります。ただこのアルバムは、ほんとMJの限界に達した怒りや苦しみを爆発させたもの。これが本来のMJの内面なのかと問われれば、そうとは答えれない。MJは愛の人なのだから。こんなに怒りや苦悩に満ちた人ではない。あのアルバムは、マイケルがメディアの理不尽で容赦ない攻撃に立ち向かわなければ、自身の精神が破たんしかねない、そこまで追い込まれた状況で製作されたアルバムだと思います。
 そしてこのアルバムで4曲を手がけたメインプロデューサーが、ジミー・ジャム&テリー・ルイスです。パーソナルな心情を曲やアルバムとして表現することのできるプロデューサーとして彼らの右に出るものはいないでしょう。
 ジャム&ルイスは、もちろん最高の楽曲と最高のSOUNDをマイケルとともに生み出します。
 「スクリーム」は、ジャム&ルイスworksの中でも最高級の1曲。「Tabloid Junkie」「History」、どの曲も素晴らしいクオリティーです。他にも、『HISTORY』には収録されませんでしたが、ジャム&ルイスとは他にも数曲製作したようです。
 ただし、ジャム&ルイスとの曲に、彼らも得意とするところの繊細なLOVEソングはありません。この時期のマイケルの内面を表現するからこういうテーマの楽曲になったと思います。
 もし、『BAD』製作期の86年から88年辺りで、ジャム&ルイスをプロデューサーに招いていたら、クインシー作品とはちがった歴史的な名盤が出来ていたと思います。しかし、この時期にマイケルとジャム&ルイスが組んでいたら、ジャネットの『コントロール』か『リズム・ネイション』は生まれなかったかもという話にもなりますが。
 ジャム&ルイスがこの時期のマイケルとアルバム製作をしていたら、『ヒストリー』ほどメディアを攻撃したり、苦悩を吐露する作品にはならなかったはず。
 そこには、前人未到の領域に到達した、スーパースターの孤独、自由への憧れ、ピュアなラブソングや、平和や子供をテーマにした作品ももっともりこまれたはず。
 これらのテーマを90年代のマイケルに求めることは難しい。地球の癒しと子供の救いはテーマになりましたが、マイケルの内面は閉ざされます。ある意味、そこにマイケルの絶望感を感じます。
 しかし、今回の80年代中盤から後半に制作されたと思われる『BAD』のアウトテイク曲は、とてもマイケルの内面を感じる事のできる楽曲です。
 
 『BAD』25周年記念盤に収録された完全未発表曲の6曲を振り返ります。収録曲順と前後します。

「Don’t Be Messin’ Round」

 サルサ調のグルーブが心地いい。MJのこういうタイプの曲は始めて聞きました。「スターティン・サムシン」もサンバのグルーブが最高ですが、マイケルはわりと曲としては単調でも、グルーブ感のある曲を好むのを感じる。
 「The Way You Make Me Feel」もメロディーラインの起伏は少なく、わりとシンプルで単調だけど、分厚い重低音グルーブとシャッフルビートが心地よく、サウンド面の肉付けで曲としての魅力が増しているのを感じる。
 この「Don’t Be Messin’ Round」も、デモ曲とはいえ相当完成しているけど、さらに完全な形で仕上げたらさらに素晴らしい楽曲になっていたに違いない。

「Song Groove」

 タイトルは、「ソング・グルーブ」ですが、原題は「Abortion Papers」(中絶許可証)。
 曲としては、80'S的なグルーブ感のある心地いい曲で、こういった曲でマイケルのボーカルの魅力も映える。
 その曲調とは裏腹に曲のテーマは深く、シリアス。
 キリスト教の国では、すごくナイーブなテーマである妊娠中絶。マイケルがこのようなテーマの曲を作っていたというのも驚きです。
 ライナーノーツでもこの曲の訳は割愛されてて、内容はよくわからなかったのですが、ネットをあさってたら、明確な訳がのっててすごく理解できた。(yomodariteさんの『読書日記と着物あれこれ』(kumaさん訳)から引用させて頂きました)

僕が歌ってることを聞いて、みんな何と言うだろう

僕の心の中を見て、心が燃えるように痛むんだ
君はどう思う  君は何て言う
愛はどうなってしまうんだ、僕の感じる罪の意識が分かるかい

命はどうなるんだ
僕なら自分の子供が欲しい

 キリスト教は、基本妊娠中絶を禁止していますが、妊娠中絶には、それぞれのケースで深刻で複雑な事情があると思います。
 この曲をアルバムに収録していたら相当な議論を生んだでしょう。マイケル自身も、何らかの事情で中絶を受けた女性を傷つける内容にしてはいけないと、熟慮して書き上げたそうですが。
 子供を愛するマイケル・ジャクソン、こういう側面の曲を書いていたというのも驚きでした。

「Al Capone」

 これまでもちょこちょこ取り上げていますが、「Smooth Criminal」の元曲となった曲だそうです。 
 私も、そうとうMJの曲を聞きこんでいますが、この曲と「スムーズ・クリミナル」がすぐに結びつきませんでした。
 スムクリよりもすぐに浮かんだのが、ジャーメインとの「Tell Me I’m Not Dreamin」です。
 この曲は、兄ジャーメインのアルバムでマイケル・オマーティアンが製作した曲で、彼のリズムアレンジとシンセグルーブが冴えわたる楽曲ですが、MJがこの曲にこんなにもインスピレーションを得ていたとは驚きでした。
 この感じでそのまま出してたら、ジャーメインやオマーティアンから相当の反発をくらったはず。
 しかし、そこからさらにエッジ感を際立たせ、メロディーもよりキャッチャーになり、「スムーズ・クリミナル」が誕生したんですね。この曲との出会いも驚きでした。

 「Price Of Frame」

この曲も、スーパースターとなったマイケル・ジャクソンらしい楽曲。

それが有名税ってやつさ

名声の対価を支払わなきゃ
苦痛だなんて思っちゃだめさ
有名税なんだから
これが名声の代償
泣き事言ってちゃ駄目なんだ

 リズム・アレンジもこってて、このダークな雰囲気はマイケルっぽい。
 メディアをテーマにした曲です。『BAD』にも「Leave Me Alone」(ほっといてくれ)という、初めてメディアに対してのダイレクトなメッセージソングを収録しました。ショートフィルムでも、エレファントマンと一緒にダンスをしたり皮肉もまじえてのものでした。
 この曲のリリックも、まだMJの気持ちに余裕を感じます。
 メディアも、いろいろネタにはしたけどまだ越えてはいけないラインは守っていたように思います。
 しかし、90年代、特に93年のあの事件以降、MJに対する扱いは、スターとはいえ、個人の人格や人権など無視した、理不尽で、不当で、偽りにまみれた容赦ないものになります。
 そしてあの心優しいマイケルも、そういったメディアの攻撃に、ついに反撃するのです。
 マイケル・ジャクソンほど、人間の二面性をその身で感じた人はいなかったのではないでしょうか。それは善としての、愛に満ち溢れた、思いやりや慈悲の心のある素晴らしい人たちの心。
 その一方で、汚れた、悪意ある、虚栄心に満ち溢れ、身勝手な人たちの心もその身をもって感じたに違いない。

 そして最後にとりあげるこの2曲は、とても感動的でした。
 「I’m So Blue」とそのものズバリ「Free」です。

「 I’m So Blue」

 こういうマイケルの内面を感じるようなラブソングって実は意外となかった。
 そしてボーカルもとてもナチュラルです。
 
 僕は本当に一人ぼっち
 とても寂しく、孤独だ

 彼らに言われたんだ
 気分が沈んだ時にこそ
 ハッピーな歌を歌うべきだって
 だから僕はずっと ずっと長い間 歌っているよ
 だけど それでも 涙が止まらないんだ
 教えてほしい 僕はどうしたらいいんだろう
 
 すごく切ないリリック
 そしてこう結びます
 
 だから僕は歌うんだ
 どうしようもなく 泣きながら

 僕を自由にしておくれよ
 僕を解き放って

そして「Free」です。
この曲もとてもナチュラルなマイケルがいます。
 
 自由になりたい
 吹き抜ける風のように 自由に
 スズメのように 飛んでゆく
 この髪が 風になびくのを感じて
 どこへ行くにも 自分のタイミングで

 僕は 僕のものなのだろうか
 
 多くのファンや、ファミリーの愛に包まれていても、マイケルの孤独感はマイケルしか知りようがありません。「僕は僕のものなのだろうか」、優しいメロディーとともにその言葉が心に残る
 
 あとマイケルは、とても詩的な曲も書きます。誰かをイメージしているのかもしれませんが、一人の少女を主人公にした曲もある(スージーであったり、アニーであったり)。
 そんな中でも印象的なのが後に『Ultimate Collection』に収録された「Scared Of The Moon」。月に対する神秘さと畏れを曲にした。この曲にもマイケルの内面を強く感じる。
 最終的に、姉・リビーに提供された「Fly Away」も美しいスロー。
 
 こうして、これらの『BAD』の収録が見送られた曲に触れると、『BAD』とはちがった、一人の青年・等身大のマイケル・ジャクソンを表現したアルバムの可能性も感じれた。
 もちろん『BAD』を否定する気はありません。当時、どれだけ『BAD』に夢中になったか。『BAD』の楽曲、1曲1曲の完成された世界観は、製作されたショート・フィルムとともに素晴らしいものです。
 そして1曲1曲どれも世界観が違う。これほど1曲1曲が、たしかな世界観をもった楽曲がおさめられたアルバムはないように思います。
 それでも、80年代後半にもう1枚、マイケル・ジャクソンのソロアルバムを聞きたかったと、この未発表曲を聞いて思ったのでした。
 『BAD』25周年記念盤、ウェンブリーでのLIVEも素晴らしいですが、これらの未発表曲に触れれたことも幸福でした。
(『BAD』25周年記念盤、こうして未発表曲にもリリックと訳(西寺郷太氏)も載りすごく丁寧でゴージャスなブックレットで感謝です)

BAD25周年記念デラックス・エディション(完全生産限定盤)(DVD付)

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  • 出版社/メーカー: SMJ
  • 発売日: 2012/09/19
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Ultimate Collection (W/Dvd) (Spkg)

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マイケル・ジャクソン コンプリート・ワークス

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◆なぜマイケルは『BAD』のスタイルに行きついたのか!? ★ そこにプリンスとミネアポリス勢の影響を感じる ★ [アルバムレビュー]

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 スパイクリー・監督の『BAD』のドキュメント番組、素晴らしかった。SOUND面からショート・フィルムの製作の秘話まで実に深く掘り下げていた。初めて見るプライベートっぽい映像も満載で驚いた。また『BAD』を深く聞ける感じ。
 そして、今回の25周年記念盤、ウェンブリーのLIVE DVDが当然注目されていますが、未発表曲も6曲収録されました。この6曲を聞いてすごく感じるとこもありました。
 マイケル・ジャクソン『コンプリートワークス』によると、当初、マイケルは62曲を作り、その内33曲を3枚組にして発表したいという希望をもっていたといいます。ファン的には、全然OKの話ですが、レコード会社的には3枚組というのは現実的ではなく(3枚組は売れないという神話もあるみたい)、クインシー・ジョーンズも3枚組という案には反対し、マイケルを説得したと言います。
 そして、絞りに絞ってあの11曲が選出され、『BAD』というアルバムとなったわけです。
 
 この時、マイケルは29歳。人間のCreativeなパワーってやはり年齢によってちがうと思います。20代のエネルギーはすごいものがあると思う。それはCreativeなもの以外でもすごいパワーがある。自分自身の感覚も思い出しての話ですが、根拠のない自信というか、恐れをしらないというか。30代の一歩手前の29歳という年齢で『BAD』ができたわけですが、若さだけではない、大人の次のステップを踏み出す前の年齢。Creativeなパワーのバランスも最高潮。
 『スリラー』の次のアルバムに向けて62曲もの曲をストックしていたというのは驚いた。泉のごとく曲が湧き出ていた感じです。そして、マイケルと何かと比較されていた同い年のプリンスもこの時期超Creativeなのは偶然なのか。
 
 プリンスもこの頃、泉のごとく曲が湧き出ている感じです。87年、MJの『BAD』が登場したこの年、プリンスも、彼の最高傑作と評される『サイン・オブ・ザ・タイムズ』を発表。

サイン・オブ・ザ・タイムズ

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ダブリューイーエー・ジャパン
  • 発売日: 1989/03/10
  • メディア: CD
 グラミーのアルバム部門でもこの2つのアルバムはノミネートされているのが象徴的。
 さらに、プリンスは、ジル・ジョーンズ、シーラ・E、マッドハウス等外部のアーティストのアルバムも製作。そしてクオリティーも高い。そして湧き出る曲が素晴らしいものばかり。
 レコード会社もプリンス自身も、これらの曲をどう扱っていくべきなのか悩んだのでは。
 しかし、それらの曲をプリンスはほぼ放出していきます(お蔵入りになったアルバムも多数ありますが)。最終的には2枚組となった『サイン』ですが、当初はこれまた3枚組のプランだったといいます。しかし、プリンスもマイケル同様、レコード会社が認めず、泣く泣くそれでも2枚組にしたようです。そして『サイン・オブ・ザ・タイムズ』は2枚組でも相当なクオリティーのアルバムです。
 
 『BAD』25周年記念盤の未発表曲の6曲はある意味衝撃でした。サルサ調の曲から、Groove曲、そしてバラードと変化に富む。「Smooth Criminal」の原型と紹介されていた「Al Capone」が兄ジャーメインとの「Tell Me I'm Not Dremin」にモロ影響されているのも驚いた。
 さらに驚くのがとてもマイケルの内面を素直に歌っている曲なのです。バラードの曲はシンガーソングライターのようでもあります。
 これまでMJの最もパーソナルなアルバムといえば『ヒストリー』が挙げられると思いますが、このアルバムはほんとMJの限界に達した怒りや苦しみを爆発させたもの。これが本来のMJの内面なのかと問われれば、そうとは答えれない。MJは愛の人なのだから。こんなに怒りや苦悩に満ちた人ではない。ほんとあのアルバムは、マイケルがメディアの理不尽で容赦ない攻撃に立ち向か分ければ、自身の精神が破たんしかねない、そこまで追い込まれた状況で製作されたアルバムだと思います。ただ「You Are Not Alone」や「Smile」などに希望と救いを見出せるのですが。
 今回の未収録曲には、MJの視点でのLOVEソングや、世紀のスーパースターとしての孤独や苦悩を曲にしている。これらの曲こそがMJの内面だと強く感じます。そういったコンセプトで集めたら『BAD』とは全く違うスタイルのアルバムが出来上がったと思います。
 マイケルとの3作目となる作品で、クインシー・ジョーンズが描いていたVISIONはあったと思います。製作のアプローチは、やはりそれまでのクインシースタイルになったと思います。クインシーのアルバム作りに置ける最重要事項は曲、素晴らしい楽曲をどれだけ集めれるかがポイントだという事を述べています。マイケルのボーカルと最高に相性のいいロッド・テンパートンの曲もとりよせ、一流ミュージシャンを総動員する。そういった感じで見ると、クインシーのおおまかなビジョンは、88年に発表されるサイーダ・ギャレットの『Kiss Of Life』(Produceはロッド・テンパートン)と89年にクインシーが発表する『BACK ON THE BLOCK』にあるように思います。


BACK ON THE BLOCK

BACK ON THE BLOCK

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Qwest
  • 発売日: 2005/08/23
  • メディア: CD
 クインシーは、『BAD』製作時に、RUN.DMCを招いてのアンチドラッグのRAPソングを提案したと言います。『BACK ON THE BLOCK』は、イントロからRAPです。
 クインシーSOUNDってSmoothで品もあるので、クインシーっていいとこの家の出かと思っていたら、幼少期は極貧で、ネズミの肉を食べたり、生きていくために盗みもはたらいた事を自伝でも語っていて驚いた。
 『BACK ON THE BLOCK』はクインシーに染み込んでいるビバップとヒップホップの融合も感じる作品。ヒップホップに対する理解度は、実はマイケルよりクインシーの方がはるかに高かった。マイケルは、最終的に自身のアルバムにRAPソングを取り入れるのに難色をしめし、この曲はなくなります。そこがマイケルのBADになりきれない印象をうけます。RUN.DMCの曲がはいっていたら相当“BAD”な最先端の作品になっていた気がします。
 サイーダの『Kiss Of Life』は、『BAD』に採用されなかったロッドの曲が流れているような気がします。収録されている「Groove Of Midnight」は『BAD』のコンセプトに合わず見送られた曲のようですが、「Rock With You」「Baby Be Mine」の流れを組むSmooth&Romanticな1曲。サイーダのボーカルスタイルも、あえてMJのボーカルスタイルに似せている気もします。
 『スリラー』の時のようにクインシー主導で製作されていたら、『BAD』のスタイルはなかったと思います。ただ何度も言うように、ロッド・テンパートンとマイケルのボーカルの相性はすごくいい。この頃のマイケルのボーカルは絶品ですから。また違った名盤になっていたのは間違いない。
 ただクインシーのピークは、80年代前半にあるように思います。87年頃には、マイケルのCreative Powerが上回っているように思いますし、クインシーもマイケルに自立を促すべく口をはさまなかったのかもしれません。
 『スリラー』や『オフ・ザ・ウォール』にもいえますが、これらのアルバムはクインシーの匂いは十二分にしみこんでいますが、クインシー作品と一線を画すのが、やはりマイケル・ジャクソンのカラー。マイケルの曲には、やはりマイケルのTasteがしみこんでいる。この時期のアルバムが、マイケル主導になるのも必然のように思います。
 マイケルが、せめて2年に1回くらいのペースで作品を発表するアーティストだったら、もっといろいろなスタイルのアルバムを感じれたと思います。ただマイケルは、それを望まなかった。5年という歳月を1枚のアルバムに凝縮させた。
 
 当時、マイケルの絶対的なライヴァルとしてプリンスの存在がありました。メディアも、同い年でもある対照的な2人をよく比較したものです。そしてやはり2人は相当お互いを意識したと思います。当時は、率直に相手を認める言葉を目にした事はありませんが、双方とも奥底でリスペクトもしていたにちがいない。私は、プリンスがいなければ『BAD』はなかったと思っています。その思いは、未発表曲を聞いて確信しました。

パープル・レイン ブルーレイ メモリアル・エディション(初回仕様) [Blu-ray]

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 83年は、マイケル・ジャクソンの年でしたが、84年、映画『パープルレイン』の公開とともに、世界は紫色に染まります。謎めいた普通ではない男・プリンス。映画の世界観とともに、その音楽性に世界は魅了されます。『パープルレイン』はジャンル的にはROCKのカテゴリーに入れられていますが、そもそもプリンスをカテゴリーでくくるなんてできない。プリンス自身がカテゴリーなのだから。もちろん『パープル』はロックよりな曲は多いですが、ポップでもありFUNKでもある。SOULも感じる。その融合が絶妙です。曲もいいので非常に聞きやすい。
 マイケルは「なぜプリンスがこれほどの大ブレイクをするのか?」自身でも自答し、周囲にも尋ねたにちがいない。『パープルレイン』は映画としても大成功した事をマイケルは相当意識していたようです。心優しいマイケル・ジャクソンですが、実は相当負けん気の強い性格も有していた気がします。マイケルは実際、お忍びで映画『パープルレイン』も見ています。この映画の成功の要因を必死に探したのではないでしょうか。そして、出した方向性が、COOLでタフでセクシャルなスタイルになったのではないかと思います。
 それまでの好青年マイケル、男くささもなく、中性的でもあり、ある意味軟弱とも評するメディアもあった。そのイメージから一転し、COOLでかっこいい、ちょっと不良っぽさも漂う、セクシーで、ワイルドなスタイルを求めた。男性なら、そういった不良っぽさにかっこよさを求める時期はありますが、マイケルの感覚もそれに近い気がする。それが29歳の頃というのは、若干遅い感じもしますが。
 しかし、マイケルが、ほんとのワルになれるわけがなく、なる必要もない。マイケル自身もそれはわかっていたはず。マイケルはマイケルであり、プリンスはプリンスなのだから。
 しかし『パープルレイン』の中で、マイケルもプリンスのかっこよさみたいなのは感じたのではないかという気もするのです。
 そしてシングル「BAD」で実際にプリンスを招き、2人でどちらがBAD(クール、かっこいい)なのか対戦しようとした。実際に2人がMVで共演していたら、どちらがBADなのかファンの意見も分かれておもしろかったのかも。
 でも奥底で、マイケルはプリンスを打ち負かしたかったという気もする。
 人は自分にないものを他人が持っていると嫉妬する。それは裏返せば、マイケルはプリンスに対して相当ジェラッてたという事の裏付けかもしれない。しかし、プリンスは自身がマイケルの引き立て役になるなんてゴメンだという事でその話を断ります。ある意味、それは正解だったように思います。といってもプリンスも、自分にはできないあのDanceとVovalの融合にジェラッたに違いない。
 さらに86年、妹・ジャネットが『コントロール』で大ブレイク。アイドルからアーティストへ変貌を遂げます。

コントロール

コントロール

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  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
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  • メディア: CD
 そしてそのSOUNDを担っていたのが、これまたミネアポリスのジャム&ルイスだったのです。
 ジャム&ルイスといえば、当時はまだプリンスの舎弟のような存在。ジャム&ルイスは『コントロール』を制作するにあたってエッジのきいたHARDなFUNKを目指したと言います。そして、それに良い楽曲とアルバムのテーマ性がFitし大成功につながった。このアルバムのスタイルは、彼らにグラミーの最優秀プロデューサーの称号をもたらします。
 さらにジャネットは『コントロール』でマイケルも達成できなかった偉業をなしとげます。それが1枚のアルバムからR&Bチャートで5曲のNo1シングルを出すというものです。妹とはいえ、この出来事もマイケルは意識したに違いない。結局、『BAD』でジャネットの記録と肩を並べる事になりますが。
 
 音楽的僻地であったミネアポリスが、プリンスやジャム&ルイス、タイムの同僚ジェシー・ジョンソン、アンドレ・シモーン(ジョディ―・ワトリーPro)らにより一気にシーンの中心となります。そしてやはりマイケルもその影響を受けた。
 マイケルもNEXTレベルへ向かうべくNEWスタイルを模索し、たどりついたのがSOUND的にもビジュアル的にも“タフ”なマイケル・ジャクソンとなり、そのコンセプトに基づき曲が絞り込まれた。プリンスの『パープルレイン』だけがそう向かわせた要素ではないでしょうが、間違いなく影響はうけたにちがいない。メディアの軟弱マイケル的なイメージを打ち壊す思いもあったにちがいない。
 
 そういいったコンセプトで集められた曲が『BAD』に収録された選びに選び抜かれた11曲ではないかと思います。そして、曲だけではなく、ボーカルスタイルもシャウト色を強めた。
 未収録曲の「I'm So Blue」や「Free」、「Don't Be Messein' Round」ではすごくリラックスのボーカルスタイルで驚いた。これらの未発表曲を聞いて、『BAD』のボーカルスタイルは攻めのスタイルであるのがわかった。そして、ショート・フィルムでも、“BAD”なスタイルで攻めた。
 『BAD』は明らかにボーカルも攻撃的。3rdシングルの「The Way You Make Me Feel」も軽快なLOVE SONGだけど、シャウト色を強めたボーカルとStreet色の強いSFで“BAD”な雰囲気を出している。
 『BAD』からの1stシングルは「Can't Stop Loving You」、これは純粋にマイケルの書いた美しいLove Song。
 2ndの「BAD」から『BAD』プロジェクトは開始される。
 「BAD」のショート・フィルム(SF)は、社会派・マーティン・スコセッシ監督によるNEWスタイルのマイケルを大いに我々に印象付けた。当時、このSFのかっこよさにしびれたをも思い出します。十二分に“BAD”なマイケルに魅了された。
 そして3rdが「The Way You Make Me feel 」。SFでも、股間に手を当てたり、セクシャルなDanceも挿入。このStreet感は、『パープルレイン』も思わせる。
 4thの「マン・イン・ザ・ミラー」は素晴らしすぎるメロディーとテーマをもった楽曲。マイケルも圧倒的なボーカル力で歌います。コンセプトとは別に、こんな素晴らしい曲をアルバムから外す理由はないでしょう。最終的には、この曲が『BAD』のハイライト曲になったようにも思います。
 5thも『BAD』の流れの「Dirdy Diana」、見事に1位を獲得します。
 6thの「Another Part Of Me」は、ミネアポリスSOUNDの影響がもっともみれる楽曲。ここでもCoolなマイケルの魅力が全開です。
 そして7thエッジの効いた「Smooth Criminal」へと続く。前述したようにジャーメインとの「Tell Me I'm Not Dremin」にそんなにも影響されていたと知って驚いた。マイケル自身魅了されたSOUNDというのは自身の中に取り入れたくなるという欲求を如実に感じた。(ジャーメインはこのでも曲の存在を知っていたのだろうか)
 そしてこの曲を挿入した映画『Moon Walker』も制作する。まさにプリンスに対抗するかのように。
 以前「リベリアン・ガール」という最高級の楽曲もカットすべきだったと力説していましたが、この『BAD』のコンセプトの流れで行くと、シングルをきるタイミングは難しかったように思います。1stシングルかほんと最終シングルかになってしまう。
 
 最終的に『BAD』のコンセプトが成功だったか失敗だったのかはわかりません。
 3,000万枚のセールスとNo1シングル5枚も出したアルバムを失敗と位置付ける事なんて普通はないですが、マイケルの思いはわかりません。場合によっては、世紀のスーパースターの孤独や苦悩や愛をテーマにした作品にする事もできたかもしれません。1枚くらい、DanceやMusic Videoをぬきにした、この時にしか作りえない素晴らしいVocalのマイケルの私小説的なアルバムも聞いてみたかったという欲求もあります。
 今回のドキュメンタリーでも、マイケルは完成までの道のりの苦しみを、聞く側は知る由もないと述べていました。そう、我々は完成された形のアルバムとしか向き合えない。そして、マイケルはまた次作『DANGEROUS』で自身の限界に挑み完璧なアルバム制作に全力を尽くすのです。
 『BAD』素晴らしいです。マイケルの不屈の精神の塊のような作品である事をあらためて感じました。いろいろ好きな事を書きましたが、当時どれほどこの『BAD』の楽曲群にしびれたことか。25年たった今も色あせる事のない、マイケル・ジャクソンしか作りえない傑作です。


BAD25周年記念デラックス・エディション(完全生産限定盤)(DVD付)

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  • 出版社/メーカー: SMJ
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マイケル・ジャクソン コンプリート・ワークス

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パープル・レイン DELUXE-EXPANDED EDITION

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◆1983 Grammy Awards 第26回グラミー賞 マイケル・ジャクソン8部門で受賞 [アワード]

                                     オリジナル2011.9.11 Up

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 1984年2月28日、83年にリリースされた作品の中から最高と思われる音楽に対して栄誉を与えるアメリカ音楽界の最高権威「レコーディング・アカデミー」、通称グラミー・アワーズが開催された。
 グラミー賞は、ソングライター、ミュージシャン、プロデューサー等、レコード制作に関わる素晴らしい作品を生み出した人たちから構成された会員の投票で選ばれるもの。
 明確な基準は知りませんが、誰でもなれるものではないのでしょう。X JAPANのYOSHIKIも会員の一人とは驚いた。My Fav ProducerのJam&LewisのJimmy Jamが今副会長。
 プロ中のプロが選ぶ音楽賞なのです。
 通常は、各部門の優秀な作品、活躍したアーティスト達を賞賛するものであったが、この日は1人のアーティストがおさめたアンビリバボーな成功に対する音楽業界からの賛辞の式典となった。その日の主役はすでに決まっていた。注目は、マイケル・ジャクソンがいったい何部門で受賞するか?
 マイケル・ジャクソン個人としてはすでに10部門で13ノミネーション(複数曲のノミネート有)という(当時)史上初の快挙となっていた。『スリラー』に関わったものとなると最優秀録音部門で受賞したブルース・スウェデンと最優秀R&Bインスト部門(ビリージーンで、クインシー&ジェリー・ヘイ)を含めると12部門になる。
 そして、彼は伝説をつくる。
 
 この年のグラミー賞は、ある意味マイケル・ジャクソンのリベンジでした。それは、79年にさかのぼる。
 前作『オフ・ザ・ウォール』は、2曲のナンバー・1ヒットと2曲のトップ10シングルを生みます。1枚のアルバムから4枚のトップ10ヒットがでたのは音楽史上初めてでした。音楽業界のレコード売り上げが不振の折、アメリカでは500万枚、全世界で700万枚というモンスター級のヒットとなります。
 そして、セールスだけではなく、作品のクオリィティーの高さから、マイケルは80年度のグラミー賞を総なめにするのではないか、という前評判でした。
 しかし、ふたをあけてみると、ノミネートは2部門。うち受賞は最優秀男性R&B歌手のみという結果に終わります。マイケルは、同業者に無視されたと感じ深い失望感におそわれます。
 しかし、その時マイケルはリベンジを誓う。
 「次だ。機会を待つんだ。今度は、誰もが無視できないようなすごいアルバムをつくってやる」と。
 そして、その夜、彼の努力が報われ、その才能に賞賛の嵐がまきおこるのです。
 
 それでは、この年のグラミー賞を振り返りたいと思います。この時のグラミーはリアルタイムには見れていませんが、後に録画したのを見ました。(現在もその模様はYouTubeで見れますね)
 ある意味、マイケル・ジャクソンが完全に頂点にたった時かもしれません。
 この日、何度壇上に上がったことになるのでしょう。スピーチのネタも尽きる感じ。実際、クインシー・ジョーンズは重複するコメントが多かった気がする。しかし、マイケル・ジャクソンは自分が何部門受賞するかがわかっているかのように、1回1回テーマというかコンセプトを持って壇上に上がり、スピーチをしている印象を受けます。すべての人がマイケルの発する言葉、一言一言に注目します。
 
 今回は、受賞した流れに沿って紹介したいと思います。
 まず放送前に、マイケル・ジャクソンは既に最優秀ロック歌手を受賞していることが告げられます。

 《 最優秀男性ロック歌手 》

★ 「ビート・イット」                     マイケル・ジャクソン
     「アフェア・オブ・ザ・ハード」         リック・スプリングフィールド 
     「キャット・ピープル」            デビッド・ボウイ
  「ザ・ディスタンス」             ボブ・シーガー 
  「アイ・ドント・ケアー・エニモア」   フィル・コリンズ

  黒人アーティストがロック部門を獲得するというのがすごい事。白人アーティストはどう思ったんだろう。もちろんヴァン・ヘイレンの力も大きい。マイケルのロック・スプリッツもほんとすごい。この後も、アルバムにはかならずハードなロックナンバーがある。
 「Beat It」がR&Bアーティストのカテゴリーで見られていたマイケル・ジャクソンの壁をぶち破った。
 
 次にグラミーの中でも主要4部門といわれるもの。
 最優秀レコード、最優秀アルバム、最優秀ソング、そして新人賞ですが、まず最優秀ソングの受賞が告げられます


 《 最優秀ソング 》  

 ★ 「Every Breath You Take 」(見つめていたい)
     Written by スティング  Performed by ポリス
       「オール・ナイト・ロング」 ライオネル・リッチー
       「ビート・イット」       マイケル・ジャクソン
       「ビリー・ジーン」      マイケル・ジャクソン
       「マニアック」        
マイケル・センベロ&デニス・マットコスキー

 この部門は、ライターに対して授与されます。ここではスティング作の「見つめていたい」が受賞。たしかに名曲。
  『スリラー』の核となった「ビートイット」「ビリージーン」の2曲がノミネート。
 ひとつのアルバムから、この主要部門で2曲もノミネートされているというのは異例。そして、この2曲ともマイケル自身の手によるもの。「ビリージーン」で受賞してほしかった。
 しかし、2曲がノミネートされた事により、票が分かれたのかも。総票数なら、マイケル・ジャクソンが一番のはず。ちょっと複雑~。
 ノミネーションも、グラミー会員がするわけです。ですからここに2曲がノミネートされていると言うことが本当にすごい事。
 この後、ことごとくマイケル・ジャクソンの前に敗れるスティング(ポリス)ですが、一矢報いた感じ。スティングのコメントを聞きたかったですが、ツアー中とのことで来場していませんでした。
 

 《 最優秀プロデューサー 》 
   ★ クインシー・ジョーンズ&マイケル・ジャクソン  
       ジェームス・アンソニー
      ジェイ・グレイドン
      クインシー・ジョーンズ
      フィル・ラモーン
 
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 この賞を獲得したのも大きい。マイケルは、シンガーであり、ダンサーであり、ライターであり、そしてプロデューサーでもある。一般のシンガーのようにできあがった曲に、歌をふきこむだけでスタジオを後にするのとはちがう。彼は、トラック・ダウンまでたちあう。その間、納得できない箇所があれば調整、取り直しをする。『スリラー』は妥協を許さない完璧なプロダクションだった。
 師匠、クインシーもマイケルのその情熱には脱帽。もちろん、マイケルはクインシーからプロデュース業のノウハウを学ぶ。その、ストイックな完璧主義の追求は次作『BAD』で最終段階をむかえる。
 クインシー自身も、マイケルとは別に手がけたジェームス・イングラム等のWORKSも評価されノミネートされているのも興味深い。
 そして、やはりマイケル・ジャクソンが間違いなくクインシーと肩を並べてProducerとして受賞しているところに大きな意味がある。
 初めてクインシーと壇上に上がるマイケルですが、「時間を割いては申し訳ないので一言、皆さんありがとう、愛しています」でこの場は去ります。
 ファンとしては、「それだけかよ~」って感じですが、まだマイケル自身もこの後、壇上に上がる機会が何度もある事を確信しているにくい演出です。それと、あくまでもメインプロデューサーは、クインシーで、自分が偉大なクインシーと肩を並べるなんてどんでもないという謙虚な気持ちもあったのかもしれません。
 ただこの部門に関して、真偽のほどはわかりませんが、ザック・オマリー・グリーンバーグ著『マイケルジャクソン帝国の栄光と転落、そひて復活へ』の中で触れられているのですが、グラミー賞の前夜、当時のCBS社長・ウォルター・イェトニコフに電話をかけたマイケルは、プロデューサー部門で、クインシーとの共同ノミネーションに納得いかない、自分が作ったのだからクインシーを外すよう頼んで欲しいという会話をしたとあるのです。
 この授賞式で、クインシーと抱き合って喜ぶマイケルの姿を見るとこのネタは事実ではないだろう、って思う。
 クインシーの謝辞の中で、最初に出たアーティストが、ポール・マッカートニーとエディ・ヴァンヘイレンでした。特にエディー・ヴァンヘイレンを担ぎ出せたのはクインシー・ジョーンズだったからでしょう。 
 当初、『オフ・ザ・ウォール』の頃、クインシーとマイケルのコンビは異色のようにとらえられていた感じですが、クインシー以外に誰がマイケル・ジャクソンを頂点に導けたのかという感じです。

《 最優秀アルバム 》
★ 「スリラー」  マイケル・ジャクソン/クインシー・ジョーンズ
   「フラッシュ・ダンス」   サウンド・トラック
    「イノセントマン」     ビリー・ジョエル/フィル・ラモーン
    「レッツ・ダンス」     デビッド・ボウイ/ナイル・ロジャース
    「シンクロニシティ」    ポリス/ヒュー・バジャム

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 次に、アルバム部門で受賞します。プロデューサーとアーティストに贈られます。今でも色あせる事のない80'Sの枠だけに収まらない名盤がノミネートされています。しかし、相手が『スリラー』だったのが不運でした。
 この年、スティングのポリスとライオネル・リッチーは『スリラー』に泣かされた。
 ボウイの『レッツ・ダンス』のProducerは、ナイル・ロジャース。
 ビリー・ジョエル『イノセントマン』も名盤。
 そして、年度が違えば『シンクロニシティ』が受賞だったと思う。プロのミュージシャンが心酔するアルバムだと思います。
 マイケルとクインシーは再び壇上にあがりコメントをします。マイケルはエピックレコードに最大級の賛辞を贈り、「世界一の友人であり、最高のプロデューサーであり、素晴らしい人物です」とクインシーに感謝の言葉を述べます。ジャッキー・ウィルソンの功績を称えたのも印象的でした。
 クインシーも「10年前は神経外科の病院で闘病していた自分が、50歳にしてこのような素晴らしい贈り物を頂けるなんて」という言葉が印象的でした。
 この時、マイケル・ジャクソンは25歳です。

続いて下記2部門で受賞したことも発表されます。

《 最優秀男性R&B歌手 》

★ 「ビリー・ジーン」           マイケル・ジャクソン
    「インターナショナル・ラバー」   プリンス
    「ミッドナイト・ラブ」          マービン・ゲイ
  「パーティー・アニマル」       ジェームス・イングラム
  「ステイ・ウィズ・ミー・トゥナイト」  ジェフリー・オズボーン

 ミスターソウルシンガーのマービン・ゲイ、そしてクインシーFamilyであり、「PYT」のライターでもある正統派ジェームス・イングラム、ジェフリー・オズボーンというR&Bボーカリスト。
 プリンスの『1999』に収録の「インターナショナルラバー」も好き。プリンスのこの歌唱法も評価されてのは素晴らしい。
 そして、マイケル・ジャクソンです。「ビリージーン」はマイケルの体臭がにじみでてる。
 モータウン25周年のパフォーマンスは、ボーカルと楽曲とDanceがミラクルな融合をした。

《 最優秀ニューR&Bソング 》
 ★ 「ビリージーン」              マイケル・ジャクソン
   「エイント・ノーバディ」      ホーク・ウォリンスキー
   「エレクトリック・アベニュー」  エディ・グラント
   「P.Y.T.」      ジェームス・イングラム&クインシー・ジョーンズ
   「スターティン・サムシン」   マイケル・ジャクソン
 
 作曲者に贈られる賞。マイケルが書いた「ビリージーン」と「スターティン・サムシン」2曲がノミネート。そして「ビリージーン」で当然とも言える受賞。R&Bの過去と未来がつまった1曲。「ビリージーン」は楽曲的にも高い評価を得る。
 さらにマイケルの手によるものではないけど、「PYT」も。『スリラー』から3曲のノミネートです。これも異例なこと。「PYT」はR&Bソングなんだな~。
 マイケルは、作曲をするとき、ピアノとドラムを使うといいます。ビートも曲つくりにおいて非常に重要なファクターになるという所にMJの曲の素晴らしさをとく秘密がにあるように思います。
 同じような事をジャム&ルイスもいっています。自分たちの曲つくりにおいて重点をおいているのは、ピッチとリズムだと。そう、グルーブ感のないブラック・ミュージックなんて考えられない。

 最優秀ポップ歌手の受賞スピーチは家族へ謝辞の場になります。

《 最優秀男性ポップ歌手 》
 ★ 「スリラー」                    マイケル・ジャクソン
    「オール・ナイト・ロング」     ライオネル・リッチー
   「マニアック」              マイケル・センベロ
   「1999」                 プリンス
   「アップタウンガール」      ビリー・ジョエル

 グラミーにおいてR&B、ロック、ポップの3部門を制したのがすごい事だと思う。まさにKING OF POPの証。「1999」でプリンスもPOP部門でノミネートされているのにも注目!マイケルとプリンスがカテゴリーの壁を壊している。そして、プリンスはマイケルマイやぶれてひそかに悔しい思いをしていたかも。ここでもリッチーの前に『スリラー』がたちはだかります。

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 7個目のグラミーを獲得したマイケルは、リビー、ラトーヤ、ブレイク前のジャネットの三姉妹を壇上に呼び、そして兄弟全員にも感謝の言葉を述べます。
 「もちろんジャーメインを含めて」と言い、来場していたジャーメインを指さし、彼もうれしそうです。

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 一時期マイケルたちと離れて活動していた兄に対して、メディアが言うような確執はないというマイケルの思いを感じる一言です。

 「母は自分と同じでとてもシャイな人なのでけっして壇上には上がってこないと思います」と言い、その母に手を振るマイケル。

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 マイケル・ジャクソンは今回のグラミーではパフォーマンスはしていません。しかし、この日最高に盛り上がったのがマイケルがサングラスを外すシーンです。「本当は外したくないのですが、親友のキャサリン・ヘップバーンが外すべきだと言うので」と。
 「彼女と2階のファンのために外します」

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 なんなんでしょう、まさにカリスマです。「同性のオレでもキャ~」って言いそう(爆)。
 近年、カリスマって言葉が安易に使われますが、本当のカリスマには近寄りがたい、そして崇高なオーラが出てる。まさにこの時のマイケルがそう。
画面からもそのオーラを感じてしまうほど。

 そしてフィナーレです。

《 最優秀レコード 》
 ★ 「Beat It 」  マイケル・ジャクソン
    Producer  クインシー・ジョーンズ/マイケル・ジャクソン

     「オール・ナイト・ロング」         ライオネル・リッチ-
    「見つめていたい」            ポリス
    「ホワット・ア・フィーリング」       アイリーン・キャラ
    「マニアック」                      マイケル・センベロ

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 最優秀レコードは、アーティストとプロデューサーに贈られます。
 今は、アルバムの方が権威があるかもしれないけど、当時は最優秀レコードが最高権威だった。  

 ノミネート曲は、80’Sを代表する素晴らしい楽曲群。
 リッチーの「オール・ナイト・ロング」は、トロピカルタッチの癒し系のすばらしい曲。
 大ヒットした『フラッシュダンス』(エイドリアン・ライン監督)から2曲ノミネート。特にマイケル・センベロの「マニアック」は大好き。AOR的なクールさと哀愁系メロディーのグルーブにはまった。センベロもリッチー同様、悔し涙を飲んだ感じ。
 対抗馬となったのが、ポリス(スティング)「Every Breath You Take」(見つめていたい)だったのでは。この曲も色あせる事のない名曲。P.Diddyにより「I'll Be Missing You 」(97年全米1位、年間チャート3位)で大胆なサンプリング(というかカバーだろ)ネタとしても使われ、あらためてその楽曲のすばらしさを認識させられる。
 しかし、マイケルの「ビート・イット」が受賞します。ハードなロックナンバーですが、その奥底には、彼の抑えようのないファンクネスがにじみ出ている。ビデオクリップがなくとも圧倒的なクオリティーの曲です。その楽曲に最高のVocalがのる。そしてビデオ・クリップのダンスの素晴らしさも相乗効果となったにちがいない。最後の部門の発表で、まさにフィナーレもマイケルとクインシーで飾る感じでした。マイケルもおされるくらいクインシーも喜びを爆発させてる。
 
 最後にマイケル・ジャクソンの人間性が出るコメントがあります。
 ことごとくマイケルの前に敗れた、ライオネル・リッチーを称えるコメントをします。「偉大なライターで、素晴らしい人物のライオネル・リッチーにも感謝します。僕は2歳の頃から彼の友達なんです」という言葉を伝えます。

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 リッチーにとっては、この日はけっしてHappyな一夜ではなかったでしょうが、マイケルの最後のこの言葉に彼がどれほど癒されたか。そして翌84年のグラミーで、最優秀アルバムを受賞するのがライオネルです。85年にはあの「We Are The World」のライターとして2人で、最優秀楽曲賞を受賞しています。
 そして最後にマイケル・ジャクソンが締めくくったのはクインシー・ジョーンズとバルコニー席のファンへの感謝の言葉でした。
 
 他、前述したエンジニア、ブルース・スウェディンが最優秀録音で受賞。いくら最高の素材が揃おうと、最後のトラックダウンで台無しになりかねない。スウェディンは、誰にも真似できない技術を駆使し、最高の仕事をし、さらに『スリラー』を高める。
 この後も、マイケルはエンジニアのスウェディンに絶対的な信頼を置いている。
 
 ポール・マッカートニーとの「The Girl Is Mine」は最優秀ポップグループでノミネートされますが、ポリスに敗れます。これは仕方ないかな。
 
 最優秀R&Bインストゥルメンタルに「ビリージーン」(対象は、クインシーとストリングのアレンジを担当したジェリー・ヘイ)がノミネートされますが、ハービー・ハンコックの「Rock It」が受賞。「ビリージーン」は、ボーカルのないインスト部分だけでも高い評価を得ているのです。クインシー曰く「ビリージーンは、いろいろな音を、何本もの糸のように集めて作られた」と。
 
 最終的に、『スリラー』関連でマイケル・ジャクソンは7部門を受賞します。さらに翌84年「スリラー」のショートフィルムが最優秀ビデオアルバムを受賞しています。

 さらにもう一つ特別な受賞がありました。

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《 最優秀児童用レコード 》
  ★ 「E.T. E.T. The Extra Terrestrial」 (E.T.ストーリー・ブック)
  Producer  マイケル・ジャクソン / クインシー・ジョーンズ

 マイケルはこの賞を獲得し、すごくうれしそうだった。
 「子供の無邪気さは想像力の種だ。子供はいろいろな事を我々に教えてくれる」とマイケルはいう。彼の発言には、子供のもつ神秘性を言及するものが多い。普通の幼少時代をもつことができなかった彼は、子供を通じて失われたものを見出そうとしているのかもしれない。

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 このアルバムは、大ヒット映画「E.T.」のストーリー・ブックで、マイケルは、ナレーションとこのアルバムのために制作された「Someone In The Dark」という曲を歌っている。
 しかし、『スリラー』と平行して製作されたこのアルバムは、クインシーも賭けだったと述べているように、スケジュール的に相当大変だった模様。
 さらに発売元の間でトラブルが起きる。『スリラー』の発売元のCBSが、「スリラー」の発売前に、この「E.T.」のアルバムが出回る事はアルバムの販売の妨害になるとして、MCAに発売の差し止めを求めるのです。
 結局、このアルバムは後に販売停止となります。
 クインシーも壇上では「このアルバムの発売を妨害したものには礼はいいたくない。」と述べている。結局、損をしたのは我々ファンで、今でもこのアルバムはマイコーファンの間では、コレクターズ・アイテムとしては貴重。ロッド・テンパートンによる「Someone In The Dark」は永年超レア曲でした。しかし、現在のスリラーの特別盤には「Someone In The Dark」収録されています。
 しかし、ストーリーブックはマイケルによるハートフルでエモーショナルなナレーションに魅了されますし、「Someone In The Dark」もStoryにそってリリックがちがっていて貴重な作品となっています。
 クインシーとマイケルは、スピルバーグにも深い感謝の言葉述べています。

 以上、長々と紹介しましたが、この時のグラミーでマイケル・ジャクソンは1回の賞で史上初の8部門受賞を成し遂げるのです。
 ずっとグラミー賞を見続けていますが、ひとりのアーティストがここまで賞賛される回は見たことがありません。現在、グラミー賞の部門数は、カテゴリーが細分化されているのもあり110位まで拡大しているそうですが(また78部門に縮小)、83年当時は67部門だそうですから、より狭き門の中での8部門受賞です。
 しばらくグラミーでの一アーティストの最多受賞記録でしたが、2000年にカルロス・サンタナが9部門(主要3部門も制覇)で受賞しますが、サンタナ名義としては8部門でマイケルと同記録。
 マイケルも、ブルース・スウェディンが、『スリラー』で最優秀録音賞を受賞しているので『スリラー』関連で9部門の受賞。さらに翌84年「スリラー」が最優秀ビデオアルバムを受賞しているから10部門じゃん。
 
 この受賞式でのマイケル・ジャクソンの壇上のスピーチに彼の人間性を如実に感じます。
 とてもシャイな人なんだな~って所も。
 多くの人が、マイケル・ジャクソンのアーティスト性だけでなく、こそ人間性にも魅了された一夜となります。
 プロ中のプロにも称賛された『スリラー』はやはり素晴らしい。


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☆年度が違えばポリス(スティング)のグラミーになっていたかも。
シンクロニシティー

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  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
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フラッシュダンス

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  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
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イノセント・マン(期間生産限定盤)

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◆Don't Let A Woman (Make A Fool Out Of You) / Joe King Carrasco(82)  ★ MJがレゲエを歌う ★ [コラボレーション]

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 今年の夏は暑い!季節によって聞く曲ってありますよね。
 センチなLoveバラードは、夏にはあまり聞かない。やっぱノリのいい曲がカーステでも流れる。夕暮れは、心地いい癒し系の曲があう。
 そして、マイケル・ジャクソンのSUMMER SONGって何だろう?と考えてみる。
 一番に思い浮かぶのは、「スターティン・サムシン!」
 誰もが知ってる『スリラー』の1曲目。Liveでも欠かせない定番ソング。MJが単独で書いた曲で、夏にピッタリのサンバのGroove。終盤の「Ma ma se, ma ma sa,Ma ma coo sa」 はトランス状態っぽい恍惚感も感じる。


Wanna Be Startin Something 2008 With Akon

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  • 出版社/メーカー: Sony Australia
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 08年、『スリラー25周年記念盤』で再現されたセネガル出身のエイコンProによる「スターティン・サムシン2008」はさらにサマー度が増す感じ。MJが自身の曲をここまで大胆なアレンジを許可したのも驚いた。
 同じく『スリラー』収録の「PYT」も、夏にあうっちゃあうけど、ちょっと爽やかさもあり春にいいかなと。
 
 『BAD』収録では、「リベリアン・ガール」ですかね。
 西アフリカの大西洋に面するリベリア共和国をイメージしているだけあって、エキゾチックな魅力も感じるトロピカルSong。インストだけでも心地いい。
 個人的には『Dengerous』以降では、あまりSUMMERって感じの曲は思い浮かばないな~。
 皆さんはどんなサマーソングを思い浮かべるんだろう。
 
 夏の夜というところでは『Off The Wall』の「I Can't Help It」。
 この曲はほんと飽きない。
 不思議な魅惑のメロディーライン。JazzyなTasteもあり、MJのVocalも魅惑的。
 Ruben Studdard(ルーベン・スタッダード)もカバーしていましたがProduceはTeddy Riley & Jam&Lewisという。夜の海岸と虫の鳴き声のイントロからはじまります。彼らもそういうイメージをもってるってことか。 
 ファレル・ウィルアムスも大好きみたいで「パラダイスのイメージ」って言ってたな~。 

 で、今回紹介する「Don't Let A Woman (Make A Fool Out Of You)」はレゲエソングです。
 マイケル・ジャクソン単独のレゲエ曲は知りません。といってもこの曲も、マイケルはゲストのバックボーカルの参加曲でメインVocalではありません。
 MJは清涼感ある美しいバックボーカルです。まさに80年代前半のMJのボーカルです。
 正直、この感触は90年代のボーカルでは出せない。87年以降でも微妙。やはり82年~86年位のボーカルだからいいのです。
 そしてマイケルのソロではないとはいえ、MJのレゲエソングはかなり貴重、って言うか普通にMJがレゲエの曲を歌っても最高に気持ちいいと思う。
 MJの奇跡の魔法のVocalはどんな曲でも歌いこなせると思いますが、「レゲエとの相性は実はいいのでは」と、この曲を聞くと思ってしまう。牧歌的なSimpleなビートとMJのある種癒しのボーカルは相乗効果を生む気が。
 この曲は、ジョー・キング・カラスコの82年のアルバム『Synapse Gap (mundo Total)』に収録され、欧州の一部ではシングルにもなっているようです。Joe King Carrascoというアーティストは存じ上げません。MJと共演したこの曲はレゲエですが、この方はレゲエアーティストというわけではなく、ジャンルにこだわらないロック・ポップアーティストのよう。共通するのは陽気なSOUND。 
 
 そのジョー・カラスコとMJがどこで接点をもっったんだろうと思うわけですが、本を読むと、LAのレコーディングスタジオで、偶然一緒になったマイケルに、ジョーが声をかけMJが快く引き受けたとありました。
 大人の事情では、契約だ、ギャランティー等細かい話はあるんだろうと思うのですが、多分MJはその場のノリで、「おもしろそう!」って感じで快諾した気が。
 好奇心旺盛、遊び心満載のMJらしい。『スリラー』前(と思われる)のMJだったからまだゆるせたレコーディングだったのでは、という気もします。

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 マイケル・ジャクソンが参加したというだけで、ものすごい付加価値がつくと思うのですが、レコード会社的には、公式な契約でのレコーディングではない感じなので公のシングルにするには難しかったのではないかと思います。
 そういうハプニング的な要素も満載の曲ですが、聞きやすく、いい曲です。
 MJのバックボーカルが曲の魅力をさらに高めている。
 「ドン レット ア ウーマン メイク ア フール」というバックコーラスと、「フ~ウ~」というマイケルの清涼感ヴォーカル。すぐにわかるのは「フ~ウ~」ってとこですが、全体的にもMJはけっこう歌ってる気がします。
 ノリで引き受けたかもしれませんが、いい加減な仕事はしないMJ。マイケルのことだから自分の作品以上に責任をもってプロフェッショナルぶりを発揮したに違いない。
 MJが歌うレゲエSONG、貴重です!


★このアルバムに「Don't Let A Woman (Make A Fool Out Of You)」収録されています。

Anthology

Anthology

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: One Way Records Inc
  • 発売日: 1995/03/21
  • メディア: CD
★Teddy&Jam&Lewis Proの「I Can't Help It」収録。

Love Is (Dig)

Love Is (Dig)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Hickory Records
  • 発売日: 2009/05/19
  • メディア: CD
 

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◆マイケル・ジャクソンとジャクソン兄弟 [ジャクソン兄弟]

                                           2009.8.4Up 今回、大幅加筆、修正
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 マイケルは6人兄弟の5番目。ジャクソンファイヴのリード・ボーカルとして11歳の時にデビュー。
 今でこそマイケル・ジャクソンはひとりのアーティストとして頂点を極めましたが、デビューからリアルタイムに感じている人は、ジャクソンファイヴのマイケルという印象があるのではないでしょうか。

 マイケル・ジャクソンの天才性は、幼少期から家族やレコード会社も感じ取っていたと思いますが、ソロとしてデビューしていたらまたちがった運命がまっていたかもしれません。
 いや、どちらにしろマイケルの成功は間違いなかったのかもしれませんが、5人グループというスタイル、ジャクソン兄弟の個性とコンビネーションの中で、マイケルの輝きがさらに増した気がします。
 ジャク
ソンファイブは、デビュー曲「I Want You Back」から連続4曲のNo1シングルを生むという伝説を作ります。

 一方、兄弟たちです。
 マイケル・ジャクソンという世紀の天才アーティストを擁したジャクソン・ファイブですが、マイケルのあまりにも大きな光によって、他の兄弟たちの光が見えなくなった印象も受けます。マイケルがソロとして成功すればするほどその輝きは増していった。

 特に三男のジャーメインは、ジャクソン・ファイブにおいてもマイケルとボーカルを分かち合い、当時はセックスシンボル的な位置づけでもありました。

Greatest Hits

Greatest Hits

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Bmg Int'l
  • 発売日: 2009/12/15
  • メディア: CD
 
 楽器もこなし、曲も作れ、ボーカルも魅力的で、ルックスも良いジャーメイン、80年「Let's Get Serious」(80年ビルボードR&B・年間No1シングル)というビックヒットを放っていますが、マイケルという弟がいなければもっとアーティストとして光り輝いた面もあると思います。(ただジャーメイン自身のプライドの高さも
影響している部分はあるかもしれません)

 さらに、末弟、ランディーもマイケルとともに「Shake Your Body」(78)や「Lovely One」(80)を制作したのでもわかるように、才能あるブラザーでした。

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ランディ&ザ・ジプシーズ

ランディ&ザ・ジプシーズ

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 1989/12/15
  • メディア: CD
 
 マイケルは「オフ・ザ・ウォール」で大人のアーティストへと脱皮した印象が強いですが、ジャクソンズ名義の「シェイク・ユア・ボディー」こそがその一歩となった曲だと思います。そして、ランディーの才能がなければ出来上がらなかった曲だとも思います。
 一時期、マイケルとランディーは二人でかなりの曲を作った印象です。この曲を収録した78年の『デスティニー』、次作『トライアンフ』は、マイケルとランディーの才能が輝いた作品だと思います。
 
 
トライアンフ

トライアンフ

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: SMJ
  • 発売日: 2016/08/03
  • メディア: CD

 ランディーは、シンガーソングライター的なスタイルでアルバムをどんどんだせたと思うのですが、いいタイミングで事故にあったりと好機を逸し、アルバムも1枚しか出ていない(それもソロ名義ではなくあえてグループ的な
名称で)状況なのは残念です。

 四男、マーロンは、ジャーメインについで「Don't Go」(R&B-2位)というヒットをもつ。84年『Victory』からシングル「Body」(HOT100-47位)
のヒット曲もある。

ベイビー・トゥ・ナイト

ベイビー・トゥ・ナイト

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー:
  • メディア: CD
  
 86年、日本テレビの24時間テレビで来日しステージでパフォーマンスをしたのをたまに思い出す。 

 長男、ジャッキーはジャクソンスズの3番目のボーカリスト、『Victory』では「Wait」「Torture」とすばらしい楽曲も作り上げている。
 
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ビー・ザ・ワン

ビー・ザ・ワン

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ポリドール
  • 発売日: 1989/06/05
  • メディア: CD
 
 サントラに提供した、CHICのバーナード・エドワーズがProduceした「Time Out For The Burglar」(87)でもリードをとっている。
 ソロアルバムは個人的に、『Victory』レベルの楽曲がなかった。
 長兄のジャッキーと当時のメンバーの最年少マイケルとの年齢差は7歳。ジャクソンファイヴ時代の画面からも、マイケルとジャッキーとのデコボコ具合は微笑ましい。
 ジャクソン兄弟の長男だけど、ジャーメインとは違いそんなに前面に出る性格ではない感じ。 

 そして次男ティトは兄弟の中でもミュージシャン魂が全開。

ティト・タイム

ティト・タイム

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: SMJ
  • 発売日: 2016/12/21
  • メディア: CD
 
 父親が大事にしていたギターを勝手に使い弦を切ってしまう。父親の逆鱗にふれる所、そのギタープレイを披露し、父親に自分たちの音楽的才能を気づかせたきっかけを作ったのがティト。 
 2016年、63歳にしてジャクソン兄弟の中でも最後のソロデビューをかざる。ティトのギターplayも光るけどボーカルもいい感じ。これまでこんなに前面に出て歌うことがなかったのでこんなに歌えるんだと驚きもした。
 アルバムからのシングル、ファレルっぽいグルーブ「Get It Baby」はR&B-29位でチャートインもはたす。アルバムもティトの音楽センス(リズムアレンジ)が光る1枚。
 ティトの3人のイケメン息子から結成した3Tは、ジャクソンのDNAが次世代にも受け継がれているのを感じた。

3T

3T

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: エピックレコードジャパン
  • 発売日: 1995/12/21
  • メディア: CD

 このように兄弟それぞれも才能豊かでヒット曲も生んでいる。
 姉妹としては、リビー、ラトーヤ、そしてジャネットの3人がいます。


 マイケルも、デビューしてからも「ジャクソン兄弟あっての自分」という思いがあったと思います。しかし、成長するととともに、成功するにつれて自分のスタンスと兄弟たちとの折り合いをつけるのが難しくなってきます。
 それはステージでの演出だったり、楽曲選びや曲のアレンジだったりしたのだと思います。
 
 一方、兄弟は、マイケルが前人未到の成功を収めようとマイケルはジャクソンズの一員だという思いもあったように思います。
 インタビューでも「マイケルに嫉妬しないの?」みたいな意地悪な質問にも「マイケルの成功を心から喜んでいる」と返している。
 そのように兄弟を教育したのが偉大な母、キャサリンだったようにも思います。

 兄弟の成功の大小に関係なく分け隔てることなく愛を注いだ。
 ダンスとボーカルがうまくいかない四男・マーロンをジャクソンファイブから外そうとした父・ジョーに対して、「口を動かしてるだけでもいいから、兄弟と同じ舞台に立たせなきゃだめ」と強く反対します。
 兄弟の一人に一生残る心の傷を残す成功に意味はないという母親の強い愛情です。

 79年の『オフ・ザ・ウォール』の成功の後、マイケルとブラザーは翌80年、ジャクソンズとして『トライアンフ』を作り上げます。マイケルも当時の雑誌のインタビューで「次のツアーは『オフ・ザ・ウォール』と『トライアンフ』を組み合わせた最高のステージにしたい」という、あくまでもジャクソンズをベースにした発言がみれます。
 しかし『スリラー』の前人未到の成功の後、マイケルのある意味抑えていた思いも解放されたのかもしれません。マイケルとジャクソンズとの関係はこの後から決定的に変わったと思います。
 マイケルの活動は音楽のフィールドだけでは収まらなくなった。ジャクソンズのマイケルとしての活動は実質不可能だったと思います。そしてジャクソンズとしての音楽と自分の目指す音楽との区分けも難しかったのではないかと思うのです。
 84年の『Victory』は、『スリラー』の後のマイケル・ジャクソンのシーン登場となる作品で大きな注目を集めます。私もリアルタイムに購入したアルバムとなります(当時はLPとカセットを買った)
 
Victory

Victory

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Sbme Special Mkts.
  • 発売日: 2008/03/01
  • メディア: CD
 
 このアルバムのセールスは瞬く間に200万枚を超えますが、アルバムチャートの最高位は4位。落ちるのも早かった。シーンの期待とは裏腹に、マイケルがリードをとる曲は3曲。後は、兄弟たちが手がけボーカルをとる曲が収録されます。

 正直なところ、リスナーが求めているのは、ジャクソンズとしてのマイケルではなく、マイケル・ジャクソンだったと思います。
 当時、私も『Victory』では、マイケルがほとんどリードをとると期待していたのに、兄弟がそれぞれのソロ作をもちよった形に残念に思ったことを覚えています。(この後、ジャクソン兄弟のそれぞれの曲の素晴らしさもわかり、今ではこのアルバムはすごくお気に入りなのですが)
 アルバム発表と同時に全米ツアーも行われます。で、全米の主要の14都市を周り55回の公演が行われ、1,000億円近い金が動いたとされます。
 一時期兄弟たちと離れてソロ活動をしていたジャーメインも復帰し、今となっては兄弟6人揃っての最後のツアーが、このビクトリーツアーとなります。
 ツアー収入をきっちりブラザーで均等に分け(マイケル自身の収益は慈善団体へ寄付された)、兄弟への恩義を果たすとマイケルはグループを脱退します。

 その後、マイケルは、『BAD』(87年)を発表し、世界ツアーに出ます。バックを固めるのは、選び抜かれた一流ダンサーたちですが、そのダンサーたちより兄弟達とステージで躍動するマイケルに魅力を感じてしまいます。
 
 この後、マイケルは自身の理想を求めてソロ活動に邁進します。
 そこからある意味孤独感も増していった印象も受けます。

 89年、マイケルとさらにマーロンも脱退し4人になったジャクソンズ。ジャーメインがリードをとり『2300 Jackson Street』という外部のTopプロデューサー(LA&BABYFACE、Teddy Riley)と自分たちで手掛けた作品をバランスよく組み合わせたアルバムを発表します。


2300ジャクソン・ストリート

2300ジャクソン・ストリート

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: SMJ
  • 発売日: 2010/06/23
  • メディア: CD
 
 アルバムには1曲のみボーカル参加したマイケルですが、「すばらしい仕上がり」と太鼓判を押します。
が、ジャクソンズ名義のアルバムでは最低のセールスとなります。大衆は、マイケルのいないジャクソンズに注目しません。

 90年代に入ると、皮膚の病気により、肌が白くなったマイケル。兄弟たちでさえマイケルと連絡を取ることもできなくなり、マイケルの病気の真実を知らないまま、ジャーメインは92年のソロアルバムで「Word To The Badd」というマイケルへ痛烈なメッセージソングを送った。
 兄として愛から生じたメッセージだったと思うけど、そのリリックはマイケルを傷つけた。弟の才能に嫉妬した兄、白人になろうとしているマイケル・ジャクソンは身内からも非難されていると、メディアは取り上げた。その事で、兄弟間に決定的な亀裂が入りかけたこともあった。

 しかし、93年8月、突然マイケルに襲いかかった悪意ある虚偽の告発でマイケルを取り巻く環境は一変します。メディアは、裏もとらずセンショーナ部分だけをとりあげ、おもしろおかしく虚偽の情報をたれながした。
 そんな状況の時、マイケルの防波堤となったのがジャーメインであり他のブラザーだった。苦境に陥ったとき、兄弟たちが全力でマイケルを守った。

 なかなか音楽活動どころか、正常な日常生活を送る事もままならなくなったマイケルですが、01年久々のソロアルバム『インヴィンシブル』を発表。それにあわせてマイケルソロデビュー30周年記念ライブが行われ、ジャクソンズが久々に集います。
 兄弟から離れていたマイケルですが、やっぱ兄弟とのパフォーマンスでマイケルは輝くのをあらためて感じました。

 03年、またマイケルにまた悪夢がふりかかる。末期ガンの少年を助けたいという思いで接点をもった家族の母親がマイケルを訴えるのです。ちょっと調べればこの母親がどれだけ胡散臭い人間で、有名人にたかる危険人物としても有名だった事がわかるのに、メディアはまたセンセーショナル部分だけをとりあげマイケルの尊厳を傷つけた。
 ランディーが探してきたというメゼロウ弁護士は、相手の矛盾を見事につき、事実を明確にした素晴らしい弁護でマイケルは完全無罪を勝ち取ります。当然といえば当然の結果ですが、陪審員制度の中ではマイケルには不利とも言える人種構成でした。しかしすべての案件で無罪となります。
 この時も、ジャーメインをはじめ兄弟、家族が全力でマイケルを守った。マイケルの潔白は証明されますが、マイケルの精神的なダメージは相当なものだったと思います。 

 そして、マイケル復活宣言の狼煙となる『This Is It』ツアーの発表後、
2009年6月25日、突然のマイケルの訃報です。

 この後、ファミリーのスポークスマンとなったのは長男のジャッキーではなくジャーメインでした。
 マイケルの葬儀の時、
「自分の一部がマイケルと共に逝ってしまった」と涙で言葉にならないコメントをするマーロンに兄弟たちがよりそう姿を見て私も涙をこぼさずにはいられませんでした。

 マイケルと兄弟たちはやはり深い絆で結ばれていたと思います。 

 2012年12月、マイケルのいないジャクソン4兄弟(ランディーもいない)の来日公演を体感しましたが、すばらしいパフォーマンスでした。ステージにブラザーとともにマイケルは立っていたに違いない。
 マイケルというとてつもない太陽によって、兄弟たちの輝きが見えにくくなったように感じますが、一人ひとりすばらしい才能と個性をもったアーティストです。
 今後、ブラザー達の紹介もしていきたいと思います。

 

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